ベルティングボイスとは、高い音域を地声のような音質で、音量を大きく響きを豊かに歌う発声法のことです。
この記事では、ベルティングボイスの発声の仕組みやトレーニング法、活用している歌手などを紹介します。
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一般に、地声で発声できる音域を超える高い音域を歌う場合は、「裏声に移行する」か「ミックスボイスに移行する」パターンがほとんどです。しかし、裏声だとパワーが弱く、地声との音色の差が激しくなってしまったり、ミックスボイスだと音色が柔らかすぎて、パワフルに情熱的に歌えないこともあります。
そこで用いられるのが、ベルティングボイスです。ベルティングボイスを使うと、地声と高音域との音色の差を減らしつつ、力強く歌うことができます。
▼地声で発声できる音域を超えた場合の、3つの発声法
ここで注意してほしいのが、ベルティングボイスは「地声を張り上げた発声ではない」ということです。
そもそも地声とベルティングボイスとでは、喉の筋肉の使い方が異なります。
発声のときには、地声の場合もベルティングボイスの場合も、主に働くのは「甲状披裂筋」という筋肉です。しかしベルティングボイスの場合、「甲状披裂筋」だけでなく、「輪状甲状筋」という筋肉も同時に使っている点がポイントとなります。
地声を張り上げることをベルティングボイスだと勘違いしていると、発声を「甲状披裂筋」ばかりに頼ってしまい、喉が疲れて高い音を出し続けるのが難しかったり、声帯を痛めてしまったりするケースがあるため、注意が必要です。
ベルティングボイスとミックスボイスは、どちらも地声で発声しづらい高音域を歌うための発声法です。しかし、発声するときに主に働く筋肉が異なるため、それにともない音質も異なります。
以下に2つの発声法の違いをまとめました。順に説明します。
ベルティングボイス | ミックスボイス | |
---|---|---|
音程のコントロールの主軸を取る筋肉 | 甲状披裂筋 ※同時に輪状甲状筋も働く | 輪状甲状筋 ※同時に甲状披裂筋も働く |
歌の入り方 | やや下からずり上がる | ぴったりの音程で入る |
高次の倍音 | 鋭い | ややなだらか |
聴いた時の印象 | 尖っていてパワフル | やや柔らかな印象 |
おすすめの使用場面 | ・パワフルに発声したいとき ・感情的に発声したいとき | ・バランスよく、楽に、高い声を地声に近い音質で発声したいとき |
※注意点 | 地声を張り上げる発声とは異なる。ミックスボイスを習得していないと発声が難しい。 |
まず、ベルティングボイスとミックスボイスとでは、使う筋肉のバランスが異なります。音程のコントロールの主軸を「甲状披裂筋」で取るのがベルティングボイス、「輪状甲状筋」で取るのがミックスボイスというイメージです。
主に働く筋肉が異なる影響で、音の入り方も異なります。ベルティングボイスは、音のでだしが下からずり上がるように入るのが特徴です。それに対してミックスボイスは、ぴったりの音程で入るケースが多いです。
また、ベルティングボイスはミックスボイスに比べて、高次の倍音のパワーが強くなります。これについては専門的でやや難しいため、以下の画像を見ながら比較しましょう。
▼裏声・ベルティングボイス・ミックスボイスの発声の比較
①が裏声、②がベルティングボイス、③がミックスボイスの音声を可視化したものです。各画面の黄色の枠内(周波数の特性)をご覧ください。
①の裏声は、声の成分がなだらかなのがわかります。それに対して②のベルティングボイスの波形は、尖るように激しく波打っているのがわかるでしょう。③のミックスボイスを見てみると、裏声とベルティングボイスの間くらいの波形を描いています。
3つとも全て同じ音の高さでの発声していますが、このように周波数の特性(倍音)に違いが出るのです。
この特性により、ベルティングボイスは尖ったパワフルな音色になります。それに対してミックスボイスの音色は、ベルティングボイスに比べるとやや柔らかい、こもった印象に聴こえるでしょう。
特性を踏まえ、パワフルに発声したい・感情的に発声したいという場合はベルティングボイスを、バランスよく楽に、高い声を地声に近い音質で出したいという場合は、ミックスボイスを使うのがおすすめです。
ただし、ベルティングボイスはミックスボイスを習得してからでないと、正しく発声できずに喉を痛めてしまう可能性があります。次の章の練習法を参考に、順序を守ってトレーニングを行ってください。
ここからは、ベルティングボイスを発声できるようになるための順序と、ボイトレアプリ「Voick」を使った練習法をご紹介します。
ベルティングボイスを発声するためには、甲状披裂筋だけでなく、輪状甲状筋を使いながら発声する必要があります。まずは、輪状甲状筋を使える基礎力を鍛えましょう。
輪状甲状筋のトレーニングは、ボイトレアプリ「Voick」の「高い声を手に入れよう」コースで行うことが可能です。
まずはアプリを開き、「Voick公式コース」をタップします。「高い声を手に入れよう」のコースを選び、一番上のレッスンから順に取り組みましょう。
レッスンを開くと、はじめに参考音が流れます。続けて、実際に発声してみてください。
基準となるピンクの線に対して、自分の声が青い線でリアルタイムに表示されます。音程があっているか確認しながらレッスンに取り組みましょう。
レッスン中にはフレーズごとの、レッスン後には全体の、採点結果が表示されます。
音程の傾向もわかるため、振り返って次のトレーニングに活かしてみてください。
このコースでは、裏声や、裏声と地声の切り替えのトレーニングができるため、ベルティングに必要な輪状甲状筋を鍛えることができます。
ボイトレアプリ「Voick」で輪状甲状筋のトレーニングをする▶︎
輪状甲状筋を使う基礎力がついたら、それを活かしてミックスボイスの発声ができるようにしましょう。
ミックスボイスは、ボイトレアプリ「Voick」の「ミックスボイス基礎コース」と「ミックスボイスマスターコース」でトレーニングが可能です。
「ミックスボイス基礎コース」に取り組むことで、高い声を力強く発声したり、地声と裏声をスムーズに行き来したりできるようにします。さらに、「ミックスボイスマスターコース」でミックスボイスを使いこなし、幅広い音階をさまざまな音質で歌えるようにトレーニングしましょう。
ボイトレアプリ「Voick」を開いたら、「Voick公式コース」を開きます。「ミックスボイス基礎コース」と「ミックスボイスマスターコース」を、1つ目のレッスンから順に進めてください。
レッスンを始めると、自分の声が青い線で可視化されます。
レッスン中とレッスン終了時に採点結果が出るため、振り返りながら、できるようになるまで繰り返しましょう。
このレッスンで、輪状甲状筋をメインに使いつつ、甲状披裂筋も使いながら発声するトレーニングができます。
ボイトレアプリ「Voick」でミックスボイスの発声を身につける▶︎
ステップ1〜2のレッスンで、輪状甲状筋を使ったミックスボイスの発声ができれば、ベルティング発声の基礎力が身についたと言っても良いでしょう。これができずにベルティングの練習をしようとすると、ベルティングではなく力んだ発声になってしまい、声帯を痛めてしまう可能性があります。必ずトレーニングの順番を守るようにしましょう。
ベルティングボイスの発声の練習では、「話し声の性質を、高い歌唱音域においても保つこと」が重要になります。そのため、喉(喉仏)を過度に下げたり、のどちんこ(口蓋垂)を引き上げすぎた歌い方はNGです。
あくまで日常会話と同じくらいの、「明るい母音の音」を意識して歌う必要があります。その意識を保った状態で、地声を超える音域を少しずつ拡張していくようなイメージで、発声の練習をしましょう。
トレーニングには、ボイトレアプリ「Voick」の「ミックスボイス基礎コース」にある、「Nayで響きのトレーニング」「Mummで総合トレーニング」がおすすめです。
この2つを、地声の音域を拡張する意識で歌ってみましょう。設定でキーを変えることもできるので、キーを上げて歌うのも効果的です。
自分の音声が青い線で可視化されるので、ベルティングボイスでも正しい音程が出せているか、確認しながら進めましょう。
フレーズごとと、全体の採点結果が出るので、参考にしてみてください。
ボイトレアプリ「Voick」でベルティングボイスの練習をする▶︎
ミックスボイスを習得する前にベルティングボイスを練習しようとすると、誤った発声になり喉を痛めることにつながります。ベルティングボイスにチャレンジする場合は、必ず以下のトレーニングの順序を守りましょう。
※必ず1〜2を習得してから3に取り組む
ボイトレアプリ「Voick」でベルティングボイスのトレーニングをする▶︎
海外ではブルーノ・マーズさんのように、ベルティングボイスを使う歌手も多くいます。では、日本ではどのようなアーティストがベルティングボイスを活用しているのでしょうか。男女それぞれ代表的な例をご紹介します。
▼LiSA
LiSAさんは、曲によってベルティングボイスを取り入れているアーティストです。紅蓮華のサビの部分では、ベルティングボイスを活かした力強い発声で歌い上げています。
▼Superfly
聴いている人に元気を与えるSuperflyさんの歌は、高音域でもパワフルに歌い上げるのが特徴です。情熱的で力強さがあり、ベルティングを活かした発声になっています。
▼優里
優里さんは切ない歌を多くリリースしていますが、どの曲もうちに秘めた想いを強く歌い上げているのが特徴です。特にサビでは、相手への思いや後悔の気持ちなどを感情的に歌うシーンが多く、ベルティングボイスを活かして切なさの中に力強さを保っています。
▼DISH//
DISH//の北村匠海さんも、ベルティングボイスを活用している男性歌手のひとりです。サビの部分ではベルティングボイスを使いながら、エモーショナルに歌い上げています。
ベルティングボイスは、地声での歌唱が難しい高音域でも、パワフルに力強く歌うことのできる発声法です。しかし、地声を張り上げる発声法と勘違いされているケースも多く、無理に練習しようとすると喉を痛めることにもなりかねません。
ベルティングボイスは、ミックスボイスを習得して初めてチャレンジできる歌唱法です。地声で使う甲状披裂筋だけでなく、裏声で使う輪状甲状筋も働かせる必要があるため、正しい順序でトレーニングをする必要があります。
この記事を参考に、ぜひベルティングボイスのトレーニングにチャレンジしてみてください。