チェストボイスとは、声帯全体が厚く振動している発声です。胸で響くような感覚があり、低い音域を発声できます。日本語では一般に、「地声」と呼ばれるものです。
この記事では、チェストボイスの特徴や、鍛え方について詳しく紹介します。
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声区におけるチェストボイスの特徴について、詳しく説明します。
声は、発声のメカニズムによって複数の声区に分けることができます。低い方からチェストボイス、ミドルボイス(ミックスボイス)、ヘッドボイスです。
※実は、さらに上のフラジオレット(ホイッスルボイス)という声区もあります
タイプ別の声区のイメージは、次の通りです。
▼タイプ1:声が高い女性
▼タイプ2:声が低い女性
▼タイプ3:声が高い男性
▼タイプ4:声が低い男性
これらの声区を移動する際に、発声のメカニズムが変わるので、滑らかに声区を移動することができずに、音程がジャンプしてしまうことがあります。これを声区転換(フリップ)と呼びます。
チェストボイスは、声区の中でもっとも低い音域を発声しやすい声区です。日本語では「地声」と呼ばれることもあります。
チェストボイスは、甲状披裂筋(声帯筋)と呼ばれる筋肉が主に働く発声法です。この発声では、声帯がしっかりと接触した、力強い声質での発声が可能となります。発声をするとき、胸のあたりで音が響くような感覚があるのが特徴です。実際は、胸から喉、口が主に響いています。
チェストボイスで高い声を発声しようとすると、過度に力んでしまったり、喉が疲れやすくなったり、激しい声帯接触が起こることで声帯にダメージを蓄積しやすくなってしまったりと、デメリットもあります。
ですので、地声のような声質で高い発声をしようと思った場合は、滑らかにミックスボイスに移行するトレーニングを行うことも大切です。
チェストボイスとミックスボイスでは、聴いたときの音の違いがないように感じることもあるかもしれません。実際に、チェストボイスとミックスボイスの音響的な特徴も似ています。
しかし、チェストボイスとミックスボイスでは、発声のメカニズムが異なります。チェストボイスでは、主に甲状披裂筋(声帯筋)が働いているのに対し、ミックスボイスでは輪状甲状筋と甲状披裂筋が共に働きます。甲状披裂筋の収縮のみで発声できる音域には限界があるため、チェストボイスの発声可能な音域は、ミックスボイスに比べて低くなります。
また、声が響く感覚にも違いがあります。チェストボイスでは胸の辺りに響く感覚がありますが、ミックスボイスでは、胸より高い位置(後頭部など)に感じられます。
ミックスボイスについては、下記で判定方法を紹介しているので参考にしてみてください。
ここでは、ボイトレアプリ「Voick」を使ったチェストボイスの鍛え方を、タイプ別にお伝えします。
男性に特に多いですが、チェストボイスの音域では楽に歌うことができても、ミックスボイスの音域になると声区の転換がうまくできず、チェストボイスを無理やり引き上げて歌ってしまうケースがあります。
このようなタイプには、以下のトレーニングがおすすめです。
★ミックスボイス基礎コース Hooで緊張をほぐす
アプリを開いたら、「Voick公式コース」を選びます。「ミックスボイス基礎コース」を選択すると、一番上に「Hooで緊張をほぐす」のレッスンがあるので、開始しましょう。
B3から順に音階が表示されるので、それに合わせて「Hoo(フー) Oo(ウー) Oo(ウー) Oo(ウー) Oo(ウー) Oo(ウー) Oo(ウー) Oo(ウー) Oo(ウー) 」と発声します。
基準となる緑の線に対して、自分の声が青い線で表示されるので、比較しながら練習しましょう。
トレーニングが終わると、レッスン結果が表示されます。
チェストボイスからミックスボイスになめらかに移行するためには、力みすぎずバランスよく声帯が閉じた状態を作る必要があります。Hoo(フー)という発声は、声帯の力みが取れやすく、声帯の接触が少なくなりやすい音です。
声が重くなってしまう、音程を下からずり上げて取ってしまうという方は、このトレーニングをしっかり行いましょう。軽く声を出すイメージで、決して力まないことがポイントです。
すべての音域において、胸に響く感覚が弱く、空気が漏れるような声になってしまうタイプもいます。か細い声で、声の大きさも小さくなってしまいやすいのが特徴です。
このようなタイプの場合は、チェストボイスをしっかりと発声できるようにトレーニングしていく必要があります。以下のトレーニングがおすすめです。
★ミックスボイス基礎コース Googで喉仏を下げる
まずアプリを開き、「Voick公式コース」を選びます。「ミックスボイス基礎コース」をタップすると、3番目に「Googで喉仏を下げる」のレッスンがあるので、開始しましょう。
G#3から順に音階が表示されるので、それに合わせて「Goog(グーッグ)」と発声します。
基準となる緑の線に対して、自分の声が青い線で表示されるので、比較しながら練習してください。
トレーニングが終わると、レッスン結果が表示されます。
Goog(グーッグ)という音は、声帯が閉じやすく、かつ喉仏の音が下がりやすい子音です。高い音を発声するときに、喉仏が上がりやすい人(声がキンキンしてしまう、軽い声や鼻にかかった声になってしまう人)や、声に空気が混じりやすい人は、このトレーニングをしっかり行いましょう。
喉仏が適正な位置に下がり喉の奥の空間をしっかりと保ち、声帯が適度に閉鎖することで、豊かな響きを手に入れることができます。
チェストボイスで高音域を歌いたいという方もいるでしょう。ここでは、ベルティングという手法について説明します。
チェストボイスをより高い音域で使う歌唱法として、ベルティングという発声があります。甲状披裂筋(声帯筋)を主に使う発声で、大きな声量と豊かな響きで、高い音域まで歌い上げる歌唱法です。
勘違いされることが多いですが、ベルティングは、地声を張り上げる歌い方とは違います。ベルティングの発声を行うためには、同時に輪状甲状筋の活用も不可欠です。「輪状甲状筋に対し、甲状披裂筋が優位に働いた状態で高音域を発声する発声法」と考えても良いでしょう。日本の歌手で言うと、Superflyさんのような歌い方のイメージです。
気をつけなければならないのは、あくまで裏声の発声やミックスボイスの発声が完成してからチャレンジするべき発声法ということです。
輪状甲状筋が十分に鍛えられていないのにもかかわらず、ベルティングの練習ばかりしていると、力みのクセがついてしまうことがあります。また最悪の場合、声帯にダメージが蓄積し、ポリープができてしまったり、嗄声(かすれた声)になってしまったりするので注意しましょう。
ベルティングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
チェストボイスを活かした歌手を紹介します。実際の歌声を聞き、イメージを膨らませましょう。
▼Superfly
▼LiSA
▼back number
▼菅田将暉
チェストボイスは、低い音域をもっとも発声しやすい声区です。チェストボイスを活かすことで、力強い声質で歌うことができます。
しかし、無理に高音域まで張り上げようとすると、声区転換がうまくいかずに声が裏返ったり、喉を痛めたりしてしまうため、注意が必要です。正しい発声の感覚を身につけられるよう、日々トレーニングを行いましょう。
チェストボイスやミックスボイスの練習には、ボイトレアプリ「Voick」がおすすめです。自分の声の特徴を確認できるので、自分ひとりでも最適なトレーニングが行えます。