ビブラートを習得する上で重要となる、ドッグブレスのトレーニングです。
ドッグブレスを練習することで、横隔膜を使ったビブラートのイメージを掴むことができます。
ビブラートとは、音をまっすぐ伸ばさずに、音を揺らして表現するテクニックです。
ビブラートを使うことで、音をまっすぐ伸ばすよりも、安定した、響きの豊かな印象を与えることができます。
「音を揺らす」と聞くと、「音程」が上下に揺れているイメージが強いかと思いますが、実は、ビブラートでは大きく分けると以下の3つの要素が「揺れて」います。
ビブラートのやり方は、一通りではありません。ここでは、代表的なビブラートの方法を紹介します。
一般に、3の「横隔膜を使ったビブラート」が、安定した、豊かなビブラートとされ、「顎を使ったビブラート」はよくないビブラート、とされることがありますが、それぞれ音の特性が異なるため、自分が出したいビブラートがどのパターンか把握しておくことが大事になります。
実際に、自分が身に付けたいビブラートを発声しているアーティストの、顎の様子などをよくチェックしてみることをおすすめします。
「顎を使ったビブラート」では、顎を閉じたり開いたりすることで、音に揺らぎを与えます。これは、音程の変化に加え、「声道のもつ周波数特性」の変化でもあり、音程とともに「音色」が変化しています。特徴としては、よりダイナミックな、言い方をかえれば少し大袈裟な印象のビブラートとなります。演歌などでよく使用されるビブラートです。
「喉(声帯)を使ったビブラート」では、声帯をコントロールすることで、音に揺らぎを与えます。これは、まさに「音程の変化」です。声帯の筋肉群をコントロールすることで、声帯の張力や長さを変化させて、音程を上下させています。
「横隔膜を使ったビブラート」では、横隔膜の運動を用いて、呼気量をコントロールすることで、音に揺らぎを与えます。一般に、呼気が多いほど大きな声となり、呼気が少ないほど小さな声となります。つまり、呼気をコントロールすることで、音量が揺らぎます。
ビブラートでは、「横隔膜を使ったビブラート」が良いビブラートとされることが多いです。横隔膜を使ったビブラートでは、安定感がある、力強いビブラートが可能になります。ただ、呼気量のコントロールだけでは、音程に大きな変化を与えることができません。
実際は、「横隔膜を使ったビブラート+喉(声帯)を使ったビブラート」の組み合わせが、バランスの良い最もオーソドックスなビブラートと考えられます。
本レッスンでは、この「横隔膜を使ったビブラート+喉(声帯)を使ったビブラート」を習得することができます。
ドッグブレスとは、その名の通り、犬がする呼吸のような「ハッハッハッ」という短い呼吸のこと指します。
ドッグブレスでは、横隔膜が上下に運動します。そのため、「横隔膜を使ったビブラート」を身に着けるのに非常によいトレーニングです。
レッスンに合わせて、リズムよく呼吸をしながら、ドッグブレスの練習をしましょう。
レッスンが進むにつれ、徐々にテンポが上がっていきます。テンポが早くなっても安定したドッグブレスを維持できるように、トレーニングしていきましょう。