カラオケ採点でよく見かける「しゃくり」や「こぶし」。それらにはどのような意味があり、どんな出し方をするのでしょうか?
この記事では、 しゃくりの意味や出し方、カラオケで多く出てしまう場合の注意点、 しゃくりの多い歌手などを紹介します。
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しゃくりとはフレーズの最初などで、本来の音の高さよりも低い音から、すくい上げるように歌うことを言います。
しゃくりを入れることで単調さを抑え、豊かな表現で歌うことが可能です。感情をのせやすくなるため、強調したいポイントで使うとよいでしょう。
また、ひとつ前の音がより低い音の場合は、2つの音の繋がりを滑らかにする効果も期待できます。
ただし、本来の音からややズレた音で歌い出すため、多く入れすぎるとくどく聞こえたり、音痴に聞こえてしまう場合もあり注意が必要です。
カラオケでは、しゃくりが採点項目の一つとして判定されます。ここでは、カラオケにおけるしゃくりの効果や、多いときの注意点・治し方などを解説します。
しゃくりは、カラオケ採点で表現力として判定される項目のひとつです。
カラオケDAMの公式サイトでは、しゃくりについて以下のように説明してます。
「しゃくり」とは、低い音程から滑らかに本来の音程までずり上げて歌唱する技法です。
全ての音程をポンポン出してしまうと人差し指1本でピアノを弾いているようにブツ切れなフレーズになってしまいます。しゃくりを上手く使えば滑らかなフレージングとなり言葉も流れてくるでしょう。
引用:精密採点“キホンのキ!”②「しゃくり」
表現力の中には、しゃくりのほかに「抑揚」「こぶし」「フォール」のテクニックもあります。左に表示されている手法の加点傾向が強い機種もあれば、複数のテクニックの組み合わせで判定する機種もあるので、いろいろな歌い方を試してみてください。
しゃくりは多くてもいいのか、疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。カラオケ採点ではしゃくりの回数が計測されており、表現力を高めるために活用すべきテクニックとなります。しかし、回数が極端に多い場合には、以下のような確認と注意が必要です。
自分のしゃくりが多いと感じるときには、まず、しゃくりを意図的に入れているのか、無意識に入れてしまっているのか確認しましょう。
カラオケの音程バーを見ながら、歌うときにしゃくりの判定がされた箇所をチェックしてみてください。無意識にしゃくりが多くなる場合は、歌い方の見直しが必要な可能性があります。
意図せずしゃくりが判定されている場合は、「声帯筋」という筋肉が強く働いている可能性があり、注意が必要です。
歌において地声が強くなる人は、声帯筋が強く働いていることが多いです。その場合、音程を取るときに下から入る傾向が強くなります。また、声帯筋は音程を変える速度が遅い筋肉なので、瞬時にパッと音を当てられず、結果的にカラオケ採点でしゃくりが入ってしまうのです。
このような場合は、裏声を出すときに働く筋肉(輪状甲状筋)を鍛えると、音をで出しからぴったりと捉えやすくなります。音の変化にも素早く対応できるようになるのでおすすめです。
裏声を出すときの筋肉は、ボイトレアプリ「Voick」の「高い声を手に入れよう」コースで鍛えることができます。意図しないしゃくりが多くて治し方を探している方は、ぜひ試してみてください。
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意図した箇所でしゃくりの判定が入っている場合は、ある程度回数が多くても問題はありません。
しかし、極端に多すぎるとくどく聞こえたり、音程が不安定だと判定されてカラオケ採点で減点になってしまうケースもあるため、注意しましょう。
また、回数だけでなく入れ方もポイントです。素早く入れすぎたり、しゃくりの深さを深くしすぎたりすると、しゃくりではなく別の音程として判断される可能性があります。
しゃくりの深さやスピード、回数などを何パターンか試しながら、採点結果を検証してみるとよいでしょう。
しゃくりとは、本来の音程よりもやや低い音から入り、ずり上げる手法のことを言います。
それに対してこぶしは、歌の途中で瞬間的に音程を上下させるテクニックです。演歌などでよく使われる手法で、カラオケ採点ではそれぞれの実施回数が計測されます。
こぶしについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
ここからは、カラオケで活用しやすいように、具体例を交えてしゃくりのやり方を紹介します。
今回題材にするのは、30年間の累計カラオケランキングで1位に輝いた、一青窈さんの「ハナミズキ」です。
一青窈さんはハッキリとしたしゃくりを活用するのが特徴で、ハナミズキでもAメロからサビにかけて何度かしゃくりが使われています。
ここでは、特にわかりやすいAメロの最初の1フレーズを例にみてみましょう。
そ⤴︎らを⤴︎おしあ⤴︎げて⤴︎
母音を伸ばしている「そ⤴︎」「を⤴︎」「あ⤴︎」「て⤴︎」でしゃくりが入っています。
文字だけでは分かりづらいため、発声のイメージを歌声解析アプリで再現してみました。
動画の青い波線は、音の高さを示しています。しゃくりが使われている部分は本来の音程から入らず、低い音からずり上げるように歌っているのがわかるでしょうか。
さらに細かく本人の歌声を聞いてみましょう。
最初の「そらを」は、本来「シド♯シ」の音程ですが、一青窈さんは「シ」をしゃくって「ラ」の音から取り始めているのが特徴です。また、「あげて」の音程は本来「ファ#ファ#ミ」ですが、実際には最初の「ファ♯」は「ミ」から、最後の「ミ」は「レ♯」から本来の音に向かってしゃくり上げています。
まとめてみると、以下のようなイメージです。
(ラ)シ ド♯ (ラ)シ
ド♯ ミ (ミ)ファ♯ ファ♯ (レ♯)ミ
このように、本来取りたい音程に入る前に、やや低い音から入って滑らかに音程を上げると、しゃくりを出すことができます。
しゃくりは本来の音程より低い音から発声する手法ですが、「低い音」ならどんな高さから入ってもよいというわけではありません。しゃくりの出だしには、その曲の「音階(スケール)」の音を使うのがポイントです。
音階(スケール)とは、決まった音の組み合わせのことを指します。例えば、先ほど紹介したハナミズキで使われている音の組み合わせは、ミ / ファ# / ソ / #ラ / シ / ド# / レ# です。実際に一青窈さんも、この音階の中の音程でしゃくりを行なっています。
音階の音を使ってしゃくりを行うのは、最初は難しく感じるかもしれません。そんなときにおすすめなのが、ボイトレアプリを活用した以下のトレーニングです。
「きらきら星」にしゃくりを入れてみよう!
それでは、実際の練習の流れをみていきましょう。
まずはボイトレアプリの「Voick」を開き、「Voick公式コース」を選びます。
つぎに、「初めてのボイストレーニング」をタップしてください。
複数のレッスンが表示されるので、「メロディに乗せて「A」」を選択しましょう。「メロディに乗せて「A」」は、「きらきら星」を「あ」の音で歌うレッスンです。
このレッスンに、 しゃくりを入れて発声してみましょう!「スタート」を押すと最初の音が参考音として流れるので、あとに続けて歌います。
「あーあーあ⤴︎あーあ⤴︎あーあー」という風に、音程が上がるタイミングでしゃくりを入れてみてください。
このとき、しゃくり始める音を、直前の音の高さと同じにするのがポイントです。音程で表すと、次のようになります。
ド ド (ド)ソ ソ (ソ)ラ ラ ソ
実際に「きらきら星」をしゃくりなしで歌った場合と、直前の音を使ってしゃくりを入れて歌った場合の音程の比較がこちらです。
しゃくりなしでは出だしから「ソ」の音で発声しているのに対して、しゃくりありではひとつ前の「ド」の音からずり上げるように入り、ワンテンポ遅れて「ソ」の音を取っています。
このように、直前に使われている音程をしゃくりの出だしに使うと、音階に乗っ取った自然なしゃくりで発声することが可能です。このトレーニングを繰り返すことで、「音階に基づいたしゃくり」の感覚を身に着けることができます。
レッスンが終了すると、レッスン結果が表示されます。しゃくりの練習では採点の評価が下がりやすくなるため、総合結果ではなく「ベンド(しゃくり)」の回数を確認しましょう。
また、「もどる」ボタンを押すと、録音された自分の音声や、音程バー(青い線)の記録を振り返ることができます。
せっかくトレーニングを繰り返しても、上手くしゃくりができているかわからない状態だと成果が出にくいので、しゃくりの回数と自分の声の振り返りは必ず行いましょう。毎日繰り返し練習することで、しゃくりの感覚を身につけることができるはずです。
先ほどハナミズキを例に紹介したように、しゃくりを歌の中で使いこなすには、実際の歌手の真似をするのがおすすめです。
ここではカラオケランキングの人気曲の中から、しゃくりを活かして歌っている歌手を男女別に紹介します。
あいみょんの醸し出す独特な雰囲気には、しゃくりが活用されています。カラオケで人気の「マリーゴールド」でも、サビ部分でしゃくりが使われています。
むぎわらの ぼうしのき⤴︎みが
ゆれた まりーごーるどにに⤴︎てる
あれはそらがまだあおいなつのこ⤴︎と
なつかしいとわ⤴︎らえた あ⤴︎のひのこい
YOASOBIは澄んだ歌声だけでなく、さまざまな歌唱テクニックを取り入れている点も特徴です。そのテクニックの一つにはしゃくりもあり、代表曲の「夜を駆ける」にも使われています。
しずむ⤴︎ように とけてゆくように
ふたり⤴︎だけの そらがひろがるよるに
さよならだけだった
そのひとことですべてがわか⤴︎った
ひがしずみだしたそらと きみのすがた
ふぇんすごしに かさな⤴︎ってた
独特のアクセントやウィスパーボイスなどを組み合わせながら、多様な歌を歌い上げるAimer。カラオケで人気の「残響散歌」は、 しゃくりを活用しながらダイナミックに表現されています。
た⤴︎だそでにさくげんか
た⤴︎だそこにあいをおとした
ころがるようにかぜをきって
つまづくごとにつよくな⤴︎った
ひか⤴︎りもいた⤴︎みもいか⤴︎りもぜんぶだ⤴︎きし⤴︎めて⤴︎
カラオケ歌手別ランキングで年間1位に輝いたback numberも、しゃくりを取り入れています。人気曲の水平線では、Aメロの最初のフレーズだけでも4回のしゃくりが使われています。
で⤴︎きるだけ⤴︎うそはな⤴︎いように⤴︎
どんなときも⤴︎やさしく あれるように
ひとがいた⤴︎みをかんじた⤴︎ときには⤴︎
じぶんのこと⤴︎のように おもえるように
ハスキーな声が特徴的な優里も、しゃくりを多く使う歌手の一人です。代表曲のドライフラワーでは、Aメロからサビに至るまでさまざまな箇所でしゃくりが使われています。
た⤴︎ぶんわたしじゃなくていいね⤴︎
よゆうのないふたりだったし
きづけばけんかば⤴︎っかりしてさ ご⤴︎めんね
もしい⤴︎つか どこかであえ⤴︎たら⤴︎
きょうのこ⤴︎とを わらってくれるかな
りゆうもちゃ⤴︎んと は⤴︎なせないけ⤴︎れど⤴︎
あなたが⤴︎ねむ⤴︎ったあとに なく⤴︎のはいや
Saucy Dogも、しゃくりを活用するアーティストです。 代表曲のシンデレラボーイでは、しゃくりに加えてフォールやウィスパーボイスなどを組み合わせながら、切なさを表現しています。
あたま⤴︎じゃわか⤴︎っていても
こころ⤴︎がおいつか⤴︎ない
からだ⤴︎は しんぷるなのね⤴︎
おとこなら なおさらね⤴︎
しゃくりは、歌に抑揚をつけてダイナミックに聞かせたり、深みを出したりするのに有効です。
カラオケでも回数が計測され、採点結果に影響します。しかし、意図せずしゃくりが多く判定されてしまう場合は、音の捉え方が悪い場合もあるので注意が必要です。
素早く音を捉えられるようボイストレーニングをしたうえで、狙ってしゃくりを入れられる状態を目指しましょう。