カラオケで採点をすると、採点結果に「フォール」「しゃくり」「こぶし」などの用語が表示されます。これらはどういった意味で、出し方はどのように違うのでしょうか?
今回はカラオケ採点に出てくる歌唱テクニックの中から、「フォール」に焦点を当てて詳しく解説します。
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カラオケ機器のDAM公式サイトでは、フォールについて以下のように説明されています。
「フォール」とは、本来の音程から滑らかにずり下げる技法です。「フォール」は、フレーズの語尾に使うことが多く、切なさを演出したり、時には色気を感じさせたり、あるいは気だるい雰囲気になったりなど、歌詞の内容や歌い手の個性で様々なことを表現することができます。
引用:精密採点“キホンのキ!”④「フォール」|カラオケDAM公式
実際のカラオケ採点の結果画面がこちらです。曲中に判定されたフォールの回数が表示されています。
採点画面の「フォールのマーク」を見てみると、どのような歌い方かイメージしやすいのではないでしょうか。
例えば本来の曲の音が「ミ」だった場合、「ミーーーーーレ♯」というように、フレーズの最後などで滑らかに音を下げるイメージです。
もう少しイメージしやすいように、実際の歌手の声で確認してみましょう。
2023年間カラオケランキング1位に輝いたVaundyの「怪獣の花唄」にも、フォールが使われています。
最初のAメロから、
おもいだすのは きみのうた⤵︎
かいわよりも せんめいだ⤵︎
どこにいってしまったの⤵︎
いつもさがすんだよ⤵︎
というように、フォールが活用されています。
明るい曲ながら、フォールがあることで気だるさや余韻のある雰囲気が感じられるでしょう。フレーズごとにフォールの下がり幅や下がるスピード、長さなども違うので、ぜひ聴き比べてみてください。
カラオケ採点でよく見る用語として、フォールの他に「しゃくり」「こぶし」があります。フォールとどのように違うのでしょうか。
このように、どれも本来の音程に変化を加えるテクニックではありますが、表現の仕方が異なります。カラオケで実際に歌いながら、各手法を試してみるとよいでしょう。
ここからは、フォールの出し方やコツを紹介します。フォールがうまく出ないという方も、3つのステップに沿ってやり方をマスターしましょう。
実は私たちが日常生活で自然に発している声には、フォールに近い発声がいくつもあります。「はぁ⤵︎」というため息や、「ねぇ⤵︎」「よぉ⤵︎」などの呼びかけ、相づちをうつときの「あぁ⤵︎」などがその例です。
まずは音を自然に下げる感覚をつかむために、「はぁ⤵︎」を繰り返し発声してみましょう。
始めは、長めに「はーーーぁ⤵︎」と深く息を吐きながら声を出して、ゆっくりと音程を下げてみてください。このとき、音を滑らかに下げることを意識します。
慣れてきたら徐々にスピードを上げて、短い「はぁ⤵︎」でも滑らかに落とせるように練習してみましょう。
ステップ1を何度か繰り返したら、実際に音が下げられているか、音程を測るアプリで確認しましょう。
今回は、ボイトレアプリのVoickを使います。アプリを開き、まず「Voick公式コース」を選択しましょう。
コース一覧の1番上に表示される、「初めてのボイストレーニング」を選びます。
さまざまなレッスンがありますが、今回は「メロディに乗せて「A」」を選んでみましょう。
レッスン詳細が出てくるので、画面下にある「レッスンを聞く」をタップします。
スタートを押すと測定の開始です。最初に参考音が流れるので、音程やリズムを確認しましょう。
このレッスンでは「きらきら星」が流れます。参考音に続けて、実際に歌ってみましょう。
「あーあーあーあーあーあーあーー⤵︎」の最後で、フォールを意識して音をずり下げてみてください。
画面には、基準となる音の高さが緑の線で表示されており、それに対して自分の発声した声が青い線で表されます。
フレーズ終わりのフォールを意識して、最後まで歌い続けましょう。
発声が終わったら、自分の声(青い線)をチェックしてみてください。「あーあーあーあーあーあーあーーーー⤵︎」のフレーズのたびに、語尾を滑らかに下げることができているでしょうか?
レッスンを終了すると、採点結果が表示されます。総合評価のほかに、フォールの回数が表示されるので参考にしてみてください。
※アプリ及びカラオケ機種ごとにフォールの判定基準は異なります
「はぁ⤵︎」や「あーあーあー⤵︎」などで感覚をつかんだあとは、実際の歌手の真似をするのがおすすめです。
ひと口に音を下げるといっても、アーティストや曲よってフォールの活用の仕方や発声のやり方は異なります。実際の歌を聞き、曲の中に取り入れながら練習することで、フォールを使うイメージが湧くはずです。
自分の歌いたい曲や好きな歌手から1曲を選び、本人の声を聞いて繰り返し真似してみましょう。
次の章以降で、フォールを活用している歌手や具体的な曲を紹介しているので、参考にしてみてください。
歌の中に的確にフォールを入れるのは、難しいと感じる人もいるでしょう。
フォールを使いこなすには、実際のアーティストの歌声を聴き、真似をするのが一番です。独自にフォールを取り入れるよりも、すでに活用されている曲をお手本にする方が、自然なフォールを習得しやすくなります。
ここではカラオケランキングの中から、フォールが何度か使われている楽曲を紹介しましょう。
自分でフォールができているか確認するなら、ボイトレアプリ「Voick」▶︎
フォールの説明で例として紹介した、怪獣の花唄です。
おもいだすのは きみのうた⤵︎
かいわよりも せんめいだ⤵︎
どこにいってしまったの⤵︎
いつもさがすんだよ⤵︎
というようにAメロからはじまり、Bメロ、サビにいたるまで、全編にフォールが使われています。使う箇所によって音を下げる高さや速さが違うので、真似をすることでテクニックが磨かれるでしょう。
Aメロの
あたまじゃわかっていても⤵︎
よなよなゆらゆらいでも⤵︎
なんでかな⤵︎ むかつくわ⤵︎
などで、ため息をつくような切なさと共に、フォールが使われています。
シンデレラボーイは、フォールやしゃくり、ウィスパーボイスなど、さまざまなテクニックを使って主人公の気持ちを表しているのが特徴です。
幅広い世代に歌われるスピッツのチェリーにも、フォールが使われています。
きみをわすれない まがりくねったみちをいく⤵︎
うまれたてのたいようと⤵︎
ゆめをわたるきいろいすな⤵︎
というように、Aメロのフレーズの語尾でフォールが使われており、優しくしっとりとした雰囲気が醸し出されています。
ここからは、フォール多く使う歌手を、男女別で紹介します。
カラオケで人気のあいみょんも、フォールをよく活用しているアーティストのひとりです。フレーズの終わりだけでなく途中にもフォールを入れることで、余韻のある独特の雰囲気を醸し出しています。
▼裸の心
いま わたし⤵︎ こいをしている
はだかのこころ かかえ⤵︎て⤵︎
サビでフォールが使われており、終わりのフレーズでは2回フォールを重ねています。
▼君はロックを聞かない
Aメロの後半で、フレーズの途中にフォールが入ります。
まじめにはりをお⤵︎とす
いきを⤵︎とめすぎたぜ⤵︎
さあこしをおろし⤵︎てよ
デビューから25周年を超え、今もなおカラオケで歌われ続けるaiko。切ない歌の中に、フォールが使われている曲が多くあります。
▼カブトムシ
始めのAメロから、語尾にフォールが使われています。
なやんでるからだがあつくて⤵︎
いまがなによりたいせつで⤵︎
個性的な歌声に加え、巻き舌やフレーズ後の吐息、深めのフォールなど、さまざまなテクニックで余韻や色気を感じさせる椎名林檎。カラオケで真似したいと思う人も多いアーティストです。
▼丸の内サディスティック
Aメロの最初のフレーズからフォールが使われています。サビの終わりは深めのフォールです。
ほうしゅうはにゅうしゃご へいこうせんで⤵︎
そしたらべんじーが はいにうつってとりっぷ⤵︎
カラオケで人気のAimerもフォールを活用しています。フォールを単体で使うというよりも、フレーズ中のしゃくりやウィスパーボイス、部分的な裏声など、さまざまなテクニックと組み合わせているケースが多いです。
▼残響散歌
Bメロの終わりからサビにかけて、フレーズの途中にフォールが入ります。
えらばれなければ え⤵︎らべば⤵︎いい
こえよとどろけ よるのそのむこうへ
なみだでにじ⤵︎んでた
Vaundyはカラオケでの人気が高く、フォールを使った曲も多いです。気だるさのあるオシャレな雰囲気を真似したいなら、ぜひフォールを習得しましょう。ここでは、すでに紹介した「怪獣の花唄」以外の楽曲を紹介します。
▼napori
サビの部分や次のパートのフレーズの語尾で、フォールが使われています。
あれは⤵︎ べりそっとflight⤵︎
ぼくらたがいのゆびを⤵︎ からめあってもう
oh right⤵︎ oh right⤵︎ oh right⤵︎
▼不可抗力
Bメロの後半でフォールが入ります。最後はウィスパーボイスを組み合わせながらのフォールです。
あれ なに わからないよ⤵︎
それ なに あまいりそうに⤵︎おちる⤵︎
サビの直前のフレーズでも、語尾にフォールが入ります。
そんなせかいだからみななぐさめあっている⤵︎
まるでれんあいえいがのらすとしーんのような⤵︎
歌手別年間カラオケランキング1位にも輝いたback number。願望や切なさを込めた歌の中に、フォールが活用されています。
▼高嶺の花子さん
サビの後半で、何度かフォールが使われています。
なつのまものにつ⤵︎れさられ ぼくのもとへ⤵︎
なるわけないか⤵︎
長年のファンの多いMr.Children。歌声をイメージしたときに、フォールを思い浮べる方も多いでしょう。複数のフォールと、フレーズ直後の息を吐く発声が印象的です。
▼HANABI
AメロにもBメロにも、フレーズ中にフォールが使われています。
てにいれたも⤵︎んとひきかえにして
にちじょ⤵︎うにほうむられて⤵︎く
ぼくのゆううつがふきとんだらいい⤵︎のに
サビでは、フレーズの語尾にフォールが使われています。
もういっかい もういっか⤵︎い
ぼくはこのてをのばしたい⤵︎
おくびょうかぜにふかれて⤵︎
どれだけあいすることができるだろう⤵︎
2024年にデビュー25周年を迎えるポルノグラフィティ。ハッキリとした力強い歌声と、ここぞというときのフレーズ終わりにくる、深いフォールが特徴的です。
▼サウダージ
2000年にリリースされた曲ですが、THE FIRST TAKEやTikTokをキッカケにリバイバルヒット。
サビの最後で深いフォールが使われています。
そのひまでさよならこいごころよ⤵︎
カラオケ採点の点数に、フォールはどう影響するのでしょうか。
基本的に、カラオケ採点で一番重視されるのは「音程の正確性」です。ここまででお伝えした通り、フォールとは、本来の音から低い音へと音程をずり下げるテクニック。そのため、不自然にフォールを入れたり回数が多すぎたりすると、「音程が正確ではない」と判断される場合があります。多用しすぎることで、くどく聞こえてしまう原因にもなるでしょう。
また、意図せずフォールが判定されている場合は、音程が不安定だったり、変に癖がついてしまっている可能性もあるので注意が必要です。
もちろんカラオケ採点では、音程以外の要素も重要になってはきますが、テクニックとしては「ビブラート」や「ロングトーン」の方が加点対象になりやすいといえます。
フォールは加点につながるという意見もあれば、入れなくても高得点が取れたという声もありさまざまです。機種によっても採点基準が異なるため、自然なフォールを意識しながら、やり方や採点結果を研究してみてください。
フォールはやりすぎるとくどくなったり、カラオケ採点で減点に繋がったりする可能性もあるため注意が必要です。
しかし、カラオケランキング上位のアーティストたちも活用しているように、フォールは切なさや気だるさ、余韻などを出すための素晴らしいテクニックでもあります。
自分が憧れる歌手を真似しながら、音が滑らかに下がっているかを音程アプリで確認して、自然なフォールを目指しましょう。