歌手のようなビブラートを出したいと考えていませんか? ビブラートにはさまざまなタイプがあり、出し方の種類も複数あります。
この記事では、ビブラートのタイプと、適した楽曲ジャンルを図で解説。さらに、具体的なビブラートの出し方と、その練習方法を詳しく紹介します。
安定したビブラートを出したいと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ビブラートとは、音をまっすぐ伸ばさずに、音を揺らして表現するテクニックです。ビブラートを使用すると、響きが豊かで、安定した印象を与えることができます。
「音を揺らす」と聞くと、「音程」が上下に揺れているイメージが強いかと思いますが、実際のビブラートでは、大きく分けて以下の3つの要素が「揺れて」います。
それぞれの揺らし方によってビブラートのタイプが変わったり、揺らす要素によって練習方法が異なったりするので、覚えておきましょう。
ビブラートには、さまざまなタイプがあります。ここでは、ビブラートのタイプの分け方や、適した楽曲ジャンルと代表的な歌手を紹介します。
そもそもビブラートとは、揺れの「速さ」と「幅」から構成されています。
揺れの「速さ」と「幅」はそれぞれ人によって異なるため、双方の組み合わせ次第で、発声される音色も人ごとに変化するのです。
「速さ」と「幅」を組み合わせて見てみると、ビブラートは大きく以下の9つのタイプに分類できます。
例えば、揺れの「速さ」が早く小刻みで、「幅」が狭い人の発声は、左上のタイプに該当します。
ビブラートのタイプは、ボイストレーニングアプリ「Voick」で判定することが可能です。
気になる方はアプリをダウンロードして「歌声診断」機能の「ビブラート」を選び、実際に声を出して確認してみてください。
【ボイストレーニングアプリ「Voick」で、ビブラートタイプを診断する】
ビブラートのタイプには、適した楽曲のジャンルがあります。
一般的に、「速さ」が早い〜標準、「幅」が狭い〜標準の場合はロックやポップスに向いており、「速さ」がゆったりで「幅」が広い場合は、演歌やバラードに向いていると言われています。
先ほどの図に当てはめて、タイプ別に楽曲のジャンルを分類したものがこちらです。
歌手や曲によっても異なるため、必ずしも全ての楽曲が上記に該当するとは言えませんが、自分の歌いたい曲のジャンルが明確な場合は、参考にしてみるとよいでしょう。
具体的なイメージが沸くように、ビブラートを活用している代表的な歌手を、図に合わせてタイプ別に分類してみました。
Official髭男dismの藤原さんや優里さんの声は、揺れの「速さ」が小刻み〜標準で、「幅」が狭いため、左上に分類されると考えられます。
幅が狭いため聞き取りづらいかも知れませんが、Aメロなどに多用されています。
▼Official髭男dism / Pretender
▼優里 /ドライフラワー
対して、ゆったりした「速さ」で「幅」の広い美空ひばりさんの歌声は、右下に分類できるでしょう。
▼美空ひばり / 川の流れのように
MISIAさんの場合は、幅は標準〜広め、速さは標準からゆったりにあてはまります。
▼MISIA / アイノカタチ
自分の出したいビブラートがどのタイプに該当するのか、代表的な歌手や曲を参考にイメージしてみてください。
なお、はじめてビブラートを練習する場合は、まず標準となる真ん中のタイプが身に付くように取り組むと、徐々に出せるタイプを広げやすくなります。
Aimerさんや米津玄師さんの発声は、揺れの速さや幅が標準に近いので、参考にしてみてください。
▼Aimer / カタオモイ
▼米津玄師 / 感電
具体的なビブラートの練習方法は、後半で紹介します。
ここまでは「ビブラートのタイプ」について紹介しましたが、ここからは、「ビブラートの出し方」について解説していきます。
ビブラートの代表的な出し方は、次の3種類です。
順に詳しく説明していきます。
「顎を使ったビブラート」では、顎を閉じたり開いたりすることで、音に揺らぎを与えます。
これは、「音程」の変化に加え、「音色(声道のもつ周波数特性)」の変化もあるビブラートです。特徴としては、よりダイナミックな、言い方をかえれば少し大袈裟な印象のビブラートとなります。演歌などでよく使用されるビブラートです。
「喉(声帯)を使ったビブラート」では、声帯をコントロールすることで、音に揺らぎを与えます。
これは、まさに「音程」の変化です。声帯の筋肉群をコントロールすることで、声帯の張力や長さを変化させて、音程を上下させています。
「横隔膜を使ったビブラート」では、横隔膜の運動を用いて、呼気量をコントロールすることで、音に揺らぎを与えます。
一般に、呼気が多いほど大きな声となり、呼気が少ないほど小さな声となります。つまり、呼気をコントロールすることで、「音量」が揺らぎます。
前半部分で図解した「ビブラートのタイプ」と、このパートで紹介した「ビブラートの出し方」には、やや関連性があります。
ビブラートのタイプの図にあてはめて見てみましょう。
一般的に、「喉(声帯)を使ったビブラート」は左上、「喉(声帯)+横隔膜を使ったビブラート」は真ん中、「顎を使ったビブラート」は右下のタイプになりやすいと言われています。
プロの歌手は色々なやり方を組み合わせているケースも多く、必ずしも上記に該当というわけではありませんが、ひとつの参考にしてみるとよいでしょう。
ビブラートでは、「横隔膜を使ったビブラート」がよいとされることが多いです。横隔膜を使ったビブラートでは、安定感がある、力強いビブラートが可能になります。ただし、呼気量のコントロールだけでは、音程に大きな変化を与えることができません。
実際は、「喉(声帯)を使ったビブラート+横隔膜を使ったビブラート」の組み合わせが、バランスのよい最もオーソドックスなビブラートと考えられます。
身につけるために、以下の3ステップに沿ってトレーニングするのがおすすめです。
順に解説していきます。
まずステップ1では、「喉(声帯)を使ったビブラート」を身につけましょう。
そのために行うのが、音程を半音上下に変化させるトレーニングです。トレーニングにより、ビブラートの音程の変化の感覚を掴み、自由に音程変化のスピードをコントロールできるようになります。
やり方は、「あ」の音を半音上下させた発声を繰り返すだけです。このコントロールは慣れないうちは難しいため、毎日取り組みましょう。
音程変化のトレーニングには、ボイストレーニングアプリの「Voick」を活用するのがおすすめです。
「Voick」をダウンロードして「音程変化」のレッスンを開くと、トレーニングのためのリズムと音程が、白いバーで表示されます。
徐々にテンポが速くなっていくので、白いバーに合わせて「あ」の発声を繰り返しましょう。
自分の声が青い線でリアルタイムに表示されるので、タイミングや音程が合っているか、確認しながら進めてください。
このとき、顎を動かして音程を変化させないように注意しましょう。顎を動かすと、音程を上下させやすくなる可能性がありますが、一緒に音色まで変化してしまいます。
例えば、「あ」を伸ばして歌うときに、顎でビブラートを行おうとすると、顎が閉じるタイミングに、母音が「あ」から「う」へと近づきます。そのため、「あうあうあうあう」というような音色になってしまいます。
音程は、顎を動かすことなく、あくまで声帯のコントロールにより上下させましょう。
顎を動かさずに音程を上下せさるのが難しい場合は、まずはテンポがゆっくりのレッスンメニューを中心に行ってください。顎を動かさずに音程を上下できるようになったら、少しずつテンポを上げていきましょう。
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次に、「横隔膜を使ったビブラート」を身につけましょう。トレーニングとしておすすめなのが、「ドッグブレス」です。
ドッグブレスとは、犬がする呼吸のような「ハッハッハッ」という短い呼吸のこと指します。「ハッハッハッ」と呼吸すると、横隔膜が上下に運動するため、練習メニューとして適切なのです。
方法は簡単。一定のリズムで「ハッハッハッ」という呼吸を繰り返し、徐々にテンポを上げていきます。こちらも1日で身につくものではないため、毎日トレーニングを続けることが大切です。
日々のトレーニングには、ボイストレーニングアプリ「Voick」を活用しましょう。
アプリをダウンロードして「ドッグブレス」のレッスンを開くと、呼吸をするタイミングが白いバーで表示されます。
レッスンでは、徐々に呼吸のテンポが上がるので、バーに合わせて短い呼吸を繰り返してください。
下記のように、自分の声は青い線でリアルタイムに表示されます。タイミングを確認しながら取り組むとよいでしょう。
【ボイストレーニングアプリ「Voick」で、ドッグブレスの練習をはじめる】
最後に、「喉(声帯)を使ったビブラート」と「横隔膜を使ったビブラート」を組み合わせて発声できるようにトレーニングします。
声帯による音程変動と、横隔膜の運動による呼吸の変動により、安定した、響きのあるビブラートを目指しましょう。
今回も、ボイストレーニングアプリ「Voick」を参考に、練習方法を解説していきます。以下は、実際のレッスンの画面です。
わかりやすいように、レッスンの内容部分を拡大して見てみましょう。
まずレッスン前半部では、ドッグブレスを行います。横隔膜を意識しながら、「ハッハッハッ」とリズムよく呼吸を繰り返すトレーニングです。
次に後半部では、そのドッグブレスの感覚を保ったまま、息を完全に切らずに「あ」の音を半音上下させます。音が途切れることのないよう、つなげたまま発声しましょう。
これにより、「音程変化」に合わせて、「音量の変化」もつけられるようになるのです。
「Voick」のレッスンでは、基準となる白いバーに対して、自分の発声した声が青い線で表示されます。タイミングや音程を確認しながら、トレーニングを行いましょう。
以上3つのステップを踏まえ、声帯による音程変動と、横隔膜の運動による呼吸の変動によるビブラートを組み合わせて練習することで、ビブラートの幅がグッと広がります。
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「意識していないのに、ビブラートが勝手に出る」というお悩みを耳にすることがあります。
本来歌を歌う時は、歌詞や状況に合わせて、自分の出したい音色を出せるようにすることが大切です。そのためビブラートにおいても、出したい場所で出せるようにコントロールできることが望ましいでしょう。
ビブラートが勝手にかかるケースは、自分でコントロールができていないため、あまりよい状態とは言えません。横隔膜が安定していない可能性もあるので、コントロールできるようにすることで、より安定した音色を奏でられるようになるはずです。
今回紹介した3ステップで、ぜひ思い通りのビブラートを目指してみてくだい。
カラオケで採点機能をONにすると、音程やリズムに加えて、「ビブラート」も計測されます。ここでは、カラオケのビブラートについて説明します。
カラオケの採点結果にも、「ビブラートのタイプ」が表示されるケースがあるかと思います。
下記は、DAMの公式で紹介されているビブラートタイプの一覧です。
引用元:ビブラートタイプ一覧
上昇型、下降型など、本記事で紹介していないタイプがありますが、基本的には「ボックス型」と呼ばれる、「速さ」も「幅」も変化しないビブラートがよいとされています。
カラオケにおいても、「ボックス型」が採点が高くなる傾向にあると言われています。
自分のビブラートがボックス型になっているかどうかは、自分の音声を可視化して確認するとよいでしょう。
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カラオケで高得点を出すには、ビブラートの判定を出すこともひとつの要素になります。
カラオケでビブラート判定がされない場合は、揺れの「幅」が狭い可能性が高いです。より音程の変化をつけられるように、ビブラートタイプの図の下の方を目指して、日々のトレーニングを行いましょう。
ビブラートには、揺れの「速さ」と「幅」からなるタイプと、「出し方の種類」があります。それぞれを正しく理解し、自分の出したい音色を目指すことが大切です。
まずは、真ん中の標準のビブラートが出せるように、3ステップに取り組みましょう。基本が身につけば、あなたの目指すジャンルや歌手に合わせて、表現の幅を大きく広げることができるようになりますよ!