口の開き方で、歌声が変化する?髭男、KingGnu、米津玄師の口の開き方を徹底研究!

                   
          

歌を歌う時に、「口の開き方」を意識したことはありますか?

きっと多くの方が、口の開け方について一度は意識したことがあるのではないでしょうか。小学校の音楽の授業では「口を大きく開きましょう」と指導されることが多かったですよね。

では、正しい口の開き方って一体何なのでしょうか。

本記事では、Official髭男dismの藤原さん、KingGnuの井口さん、米津玄師さんに着目し、「口を開く」ことが歌声に与える影響について考えていきます。

歌手の口の開き方を確認する

実際に、Youtubeをみながら、口の開き方の違いをミュージシャン毎に見てみることにします。

Official髭男dism

まずは、Official髭男dismのボーカル、藤原聡さんの口の開け方を見てみましょう。

4:00あたりの、高音域(A#4)の発声(母音/a/)をチェックしてみます。

元々、藤原さんの場合は、口が大きいタイプの方ではないように感じますが、高音域の発声については、比較的大きな口を開けて発声しています。また、鼻の横のから頬が上がっている様子がみられます。その結果、比較的発声時に前歯の見える本数が多いですね。口を縦に開くと、前歯が隠れる形になりますが、藤原さんのように、鼻の横から口を開けると、発声時に多くの前歯が見えます。

動画をみてみると、高音域の方が口が大きく開く傾向がありますが、低音域であっても、鼻の横あたりから頬にかけての部分が、上がっているケースが多いです。

一般的に、母音の/a/は意識せずに発声すると鼻の横から頬にかけての部分が上がることはあまりなく、特徴的な口の開き方かと思います(ご本人が意識しているかはわかりませんが)。

King Gnu

続いて、King Gnuの井口理さんの口の開き方をみてみます。

4:11秒〜「全てを包み」から「こんでくれ」への、高音域への移動の際の口の形状変化が非常にわかりやすいのですが、特に母音/e/を中心に、高音域において、頬が上昇するのがわかります。

ただ、サビ以外の、低音域〜中音域では、どちらかというと頬を上げて歌うというよりは、顎を下におろす口の開け方をしているケースが多くみられるように感じます。

米津玄師

続いて、米津玄師さんの口の開け方についてみていきます。

下記の参考動画はMVなので、実際に音源と同じくらいの声量で歌っている訳ではないかも知れませんが、口の開け方には癖が残るはずなので傾向はみてとれるかと思います。

Official髭男dismの藤原さんや、King Gnuの井口さんと比較して、ほとんど口角をあげることがなく、下方向への口の開きが多いことがわかります。また、口の開きもそこまで大きくはなさそうです。他の動画で確認しても、口角方向への口の開きは少なく、横方向、もしくは下方向の口の開きが多いように感じられます。

口の開き方が、声の音色に影響する

今回は3名の歌手の口の開き方についてみていきましたが、では、その口の開き方が、一体どのように歌声に影響するのでしょうか。

実際に、同じ高さの音で、かつ、同じ母音/a/について、口の開き方だけを変えて、周波数特性をみてみましょう。

※周波数特性については、以下の記事を参照ください

口角を上げて歌う

下記の画像は、意識せず発声した母音/a/の周波数特性(白)と、意識的に、鼻の横から頬にかけての部分を上昇させて発声した母音/a/の周波数特性(青)です。イメージ的には、Official髭男dismの藤原さんの発声時の口の開き方をイメージして発声してます。

周波数特性をみると、意識せず発声した母音/a/に比べ、鼻の横から頬にかけての部分を上昇させて発声した母音/a/の方が、高域に強いピークを持つことがわかります。

イコライザなどを使用して、ボーカルの録音したデータをミキシングしてみるとわかりますが、このあたりの3000~4000Hzの周波数帯域を上げると、すこしギラギラしたような、いわゆる「抜けの良い」声色になる傾向があります。

Official髭男dismの藤原さんの声や、King Gnuの井口さんの特に高音域部分の声については、この辺りの3000~4000Hzの周波数帯域に、強いパワーを持っているのではないかと推測されます。

口角を下げて歌う

続いて、下の画像は、少し口角を上げて発声した母音/a/の周波数特性(白)と、意識的に口角を上げずに下方向の口の開きを意識し、あまり口を開けずに発声した場合の周波数特性(青)です。

少しややこしいですが、明らかに3000~4000Hzの周波数帯域のパワーが弱く、中域の減衰傾向が強まりました。また、第2フォルマントが若干低周波数側に移動し、フォルマントの明瞭度が下がっています。

一方で、第1倍音〜第3倍音あたりのパワーは強くなっています。

※フォルマントや倍音については、以下の記事を参照ください

つまり、この発声方法では、声の「ギラつき」が弱まり、母音の明瞭度が下がることで、少しダークな印象の声になります。「元気ハツラツ」な声、というよりは、「クール、重い」な印象の声になります。

米津玄師さんの声は、このようにフォルマントの明瞭度が低く、高域の倍音が強調されないクールな声を持っているのではないかと推測されます。

特徴を押さえた上で、各曲を改めて聞いてみよう

このように、口の開き方は声の音色に大きな影響を与えます。

Official髭男dismの藤原さんですが、18:00あたりをみても分かるとおり、バラードであっても比較的に鼻の横の部分は上方向に上がっている傾向があり、基本的に常に明るめの声色をしています。

一方、KingGnuの井口さんは、高音域になると、頬が上がる傾向がありますが、低音域〜中音域にかけては、あまり頬が上がらず、下方向への口の開きが大きいため、少しダークな雰囲気を持ちつつも、高音域になると少しきらびやかな音色を持つような印象があります。

米津玄師さんは、高音域であっても基本的には下方向への口の開きが多く、常に重めでクールな印象の声色をしています。

今回チェックした、3名のミュージシャンはいうまでもなく素晴らしいボーカリストですが、共通して特定の口の開き方をしている訳ではなく、それぞれ異なった口の開き方をしており、結果、それぞれの楽曲の持ち味に合った声色につながっているのではないかと思います。

まとめ

このように、口の開き方によって、その音響的な特徴が異なることが分かります。

  • 鼻の横から頬にかけてのあたりを引き上げて歌うと、高周波数帯域のパワーが上昇し、ギラつきのある明るい音色になりやすい
  • 下方向への口の開きを意識し、あまり大きく口を開けない場合、母音の明瞭度が下がり、クールな音色になりやすい

そして、人気のある歌手であっても、みんなが同じような口の開け方をしている訳ではなく、それぞれ異なった口の開け方をしていることが分かるかと思います。

どのような口の開き方をすれば、どのような音色になるのか、なんとなくでも理解しておくだけで歌の表現の幅が広がるのではないでしょうか。

口の開き方によって、声の音色が変化することを理解し、自分自身が出したい声の音色に対して、どのような口の開き方をすれば良いのか、意識できるようになることが大切です。

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