歌声の音質や、発声可能な音域が異なる発声法を、分類したものを声区と呼びます。
一般に、地声、裏声と呼ばれるものが声区の一種に該当します。
歌を歌うにあたって、様々な音域をスムーズに歌えるようになることはとても重要です。声区のコントロールができるようになると、幅広い音域で歌を自由に歌うことができるようになります。
本記事では、声区の基礎について学びます。
声区の分類については諸説あり、人によって分類が異なりますが、Voickでは、声帯振動の容態や、音域の違いに基づいて、代表的な声区を以下のパターンに分類します。
一般に「地声」と呼ばれる声に近い発声です。
甲状披裂筋(声帯筋)が働くことで、声帯が厚みを持ち、声帯のカバーが緩んだ状態での発声になります。高次の倍音成分まで強いパワーを持ちます。呼気流から音への変換効率がよく、大きな声での発声がしやすい声区です。
ヘッドボイスやファルセットの音域を、チェストボイスのような音色で発声します。
甲状披裂筋に加え、輪状甲状筋が働くことで、声帯が薄く伸びつつも、カバーが緩んだ状態での発声が可能になり、チェストボイスのような声帯振動パターンを実現することができます。
結果として、高次の倍音成分まで強いパワーをもつ、力強い発声が可能になります。
主に輪状甲状筋が働くことで、声帯が薄く伸びた発声です。かなり高い音域まで発声することができます。
チェストボイスでも、ミドルボイスでも、声帯はしっかりと閉じた状態で発声されますが、これは、主に外側輪状披裂筋や被裂筋の収縮によるものです。
ヘッドボイスにおいても、同様に外側輪状披裂筋や被裂筋が働き、声帯が閉じた状態での発声になります。
したがって、しっかりと有声音として発声され、息漏れの少ない発声となります。
力強い高音を発声する際に用いられます。
主に輪状甲状筋が働くことで、声帯が薄く伸びた発声です。高い音域まで発声することができます。ヘッドボイスとの違いとしては、声帯が十分に閉鎖されておらず、息の漏れが多い発声であることです。
高次の倍音成分のパワーが弱く、力弱い、か弱い、せつないといった印象の音色になります。
声区により、得意とする音域が異なります。また、訓練することにより、各声区での発声可能な音域を広げることができ、発声の選択肢も広がります。
また、一般に、ミックスボイスを用いることでチェストボイスやヘッドボイスの音域の隔たりを埋めることができるようになります。それにより、低い音域から高い音域まで、均一な声質で歌うことができるようになります。
実は、声区の違いにより、声帯の振動の様子が異なってきます。以下では、声区ごとの声帯振動パターンの違いをEGG波形(声帯振動を電気信号で観測した信号波形)で見ていきます。
声帯が閉じている時間が長く、低い声門開放率(声帯が開いている時間/声帯振動の周期)を持ちます。
チェストボイスと同様の声門開放率を保ったまま、振動周期が高くなります。したがって、音色はチェストボイスに近い音色が得られます。
ヘッドボイスでは、チェストボイスやミックスボイスと比較すると、声門開放率が高くなる傾向がありますが、チェストボイスやミックスボイスに近い声帯振動パターンが見られます。音色としても、力強さを感じる音色となります。
ファルセットでは、上記3つの声区とは異なり、声門が開いている時間が長く、声門開放率が高くなります。
声区によって、声帯振動のもつ周波数特製が異なります。
チェストボイスやミックスボイス(またはヘッドボイス)では、高次倍音(高周波数帯域の倍音成分)も、減衰せず、強いパワーを持っています。
一方、ファルセットでは、高次倍音はパワーをあまり持っておらず、主に低次の倍音がパワーを持ちます。
Voickの周波数解析機能を使用して、ファルセットやチェストボイスの周波数特製を見てみると、声区の特徴を掴むことができるのではないかと思います。
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